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![]() 日本高血圧学会減塩委員会は多面的アプローチによる食塩制限を通して高血圧管理と循環器病予防を目指します
活動の四本の柱
1. Political and social approach 政府,自治体,産業界へのはたらきかけによる食塩摂取減少 2. Population approach 集団としての高血圧患者,市民,国民へのはたらきかけによる食塩摂取減少 3. Individual approach 高血圧患者個人,家族および医療従事者へのはたらきかけによる食塩摂取減少 4. Publicity activities 減塩委員会や減塩に関する広報活動 ![]() 目次
1.トピックスupdate
2.食塩の知識
減塩について
減塩の必要性
心血管病の原因となる高血圧はいろいろな生活習慣の歪みで生じますが,そのうちの最も重要なものの一つに食塩過剰摂取があります。海から陸に上がった生命体の生命維持機構の重要なものの一つに食塩(ナトリウム)が体外に失われることを防ぐということがありました。しかし,文明の進化とともに食塩摂取量は石器時代の1日1〜2g以下から10g以上へと増えてしまいました。このため,高血圧が増え,それに伴う脳卒中や心臓病,腎臓病などが増加しています。また,食塩の過剰摂取は高血圧を介さず,直接心血管病の原因になることもあるといわれています。そのため,減塩は高血圧の患者さんだけではなく,健康な人たちにとっても大切なことなのです。
減塩目標
ところが,「日本人の食事摂取基準」においては男性の1日の食塩摂取量の目標値が9g未満,女性が7.5g未満という目標値があげられています。これは血圧が正常の人では減塩はそれほどしなくてもいいということではなく,平均食塩摂取量は1日10.7gの日本人が1日6g未満にするのは現状では無理だろうからということで決まったものなのです。高血圧学会の1日6g未満が中間目標といいましたが,この「日本人の食事摂取基準」の目標値はさらに暫定的な値ということができます。
減塩に関する問題点
私たちは加工食品やレストランでの外食,市販の弁当などの食事をたくさん摂っています。もちろん,減塩のための個人の努力は重要です。しかし,もともとは食塩(ナトリウム)を保持するように身体ができており,食塩に対する嗜好も強いわれわれが,食塩にあふれた現在の環境で減塩の努力することは決してたやすくはありません。すなわち,政府や企業の方々の協力なくしては減塩の推進は難しいと考えられます。
減塩のコツと塩分の多い食品・料理
簡単なまとめを作りましたので,ご参照ください。
夏の日常生活における水分と塩分の摂取について:熱中症予防と高血圧管理の観点から
*:高血圧の人は極めて多く,成人の3人に1人,高齢者の3人に2人は高血圧で,日常生活での塩分制限が勧められます。
本当に減塩は心血管病を減らすのでしょうか
食塩を取りすぎると高血圧になりやすく,減塩は血圧を下げるということは,多くの研究から確かです。しかし,減塩が心血管病の発症を改善するかという点に関しては,動物実験では多くの成績がありますが,最近ヒトで矛盾した報告が発表され,議論になっています。 これらは,食塩の摂取量が少ないほうが心血管病死亡率が高くなるというStaessenらの観察研究や,減塩は心血管病発症や総死亡を有意には改善しないというTaylorらによる介入試験のメタ解析です。 しかし,前者は同じ手法の多くの研究で食塩過剰摂取は心血管病のリスクを増やすことがすでに示されていることから,研究方法の限界に基づくものと考えられます。また,後者は選ばれた7件の試験のうち問題のある1件を除いた残りで再解析を行うと,減塩の心血管病抑制効果が証明できることをMacGregorらが指摘しております。すなわち,いずれも減塩の有効性を否定できるほどの成績ではありません。 確かに食塩(ナトリウム)はある程度は必要ですが,現代人のように10g/日以上といった過剰の摂取は明らかに有害です。なお,極端な減塩は高齢者,妊婦,幼児,臓器障害のあるものなどでは問題がある場合がありますが,これは6g/日よりもずっと少ない量で示されています。 以上より,日本高血圧学会がかかげる減塩6g/日未満は,高血圧の治療や予防に有用であるのみでなく,心血管病の予防・治療にも有用性が期待されるものと考えられます。
3.高血圧学会減塩委員会の活動
1. Political and social approach
政府,自治体,産業界へのはたらきかけによる食塩摂取減少
加工食品の食塩表示に関する関連省庁への働きかけupdate
現在加工食品の食塩表示は,
などの問題点があります。そこで,減塩委員会では,三浦克之委員を中心に栄養成分表示における食塩相当量(g)の記載義務化の要望書
消費者庁では福嶋長官(左写真右より1番目)に要望書をお渡しして,ご説明する機会を得ました。
また,記者会見の場ももうけることができました。
プレスリリース
メディアの反応
消費者庁 栄養成分表示検討会報告書(平成23年8月23日)
食塩相当量の記載義務化は残念ながら認められませんでしたが,食塩制限の重要性が認識された結果,表示すべき栄養成分の優先度の見直しがなされました。下表は報告書に添付された別紙「表示すべき栄養成分の優先度の見直し」よりの抜粋です。
![]() http://www.caa.go.jp/foods/pdf/syokuhin683.pdf
(注)食塩はナトリウム(Na)とクロール(塩素:Cl)の化合物で,化学式ではNaClとなります。そのため,同じ量のナトリウムを食塩量に換算するとクロールの重さを加える必要があり,約2.5倍となります。また,健康増進法に基づく食品の栄養表示基準によれば,ナトリウムの表示単位は「mg」または「ミリグラム」とのことで,1000mg以上の場合は「g」または「グラム」でも可となっていますが,「mg」表示の場合には「g」に換算する必要があります。
ナトリウム量(g)=ナトリウム量(mg)÷1,000
食塩量(g)=ナトリウム量(g)×2.5 たとえば,このスナック菓子では:ナトリウム量(g)は 239(mg)÷1,000=0.239(g) 食塩相当量(g)は 0.239(g)×2.5≒0.6(g) でこの袋のお菓子を全部食べると0.6gの食塩摂取量になります。 カップ麺のように食塩含有量が多い場合は「g」表示のことが多いようです。また,最近は多くのカップ麺で食塩相当量の記載があり,食塩相当量の記載の必要性も認識されつつあるようです。 カップ麺の食塩含有量は商品によって大きな幅があります。 右の図は中でもかなり多いものですが,この10.7gは日本人の平均食塩摂取量と同じ値です。 つまり,このカップ麺は1個食べると,日本人の平均食塩摂取量になる訳ですから,これを食べると1日の食塩摂取量は非常に大きな値になることがわかります。 減塩対策強化について学会から厚生労働省への働きかけ
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準」においても2010年4月から男性の1日の食塩摂取量の目標値が9g未満,女性が7.5g未満と引き下げられ,減塩対策への関心が高まっています。しかし,欧米に比べて減塩対策はまだまだ遅れています。そこで,減塩対策の強化のために,
高血圧のガイドラインでは1日6g未満を食塩摂取量の目標としているのに,厚生労働省の「日本人の食事摂取基準」では男性の1日の食塩摂取量の目標値が9g未満,女性が7.5g未満とこれよりかなり多い量になっています。それは高血圧でない人は食塩を多く取ってもいいということではありません。日本人の平均食塩摂取量は1日10.7gとまだまだ多く,低い目標をあげても無理だろうということです。しかし,本来はこの二つの値は同じになるべきなのです。 また,われわれの食塩摂取量の多くは加工食品や外食といわれていますので,政策的に食品メーカーやレストランなどの企業の後押しをして,これらの食品の食塩含量を減らすようにしていく必要があります。 2. Population approach
集団としての高血圧患者,市民,国民へのはたらきかけによる食塩摂取減少
減塩ヘルシー弁当(第33回日本高血圧学会総会)
2010年10月15〜17日の日本高血圧学会総会(福岡)では学会長をはじめとする学会関係者の意向により,「減塩ヘルシー弁当」を提案させて頂きました。 (1)「減塩は不味い」「ご飯食(和食)は塩分過多」を払拭し「Naを減らし,Kを増やしても美味しい」を実感してもらうこと,(2)栄養バランスを示すツールとして厚労省と農水省が策定した「食事バランスガイド」を表記し医療関係者への周知を図ることを目的に,新規減塩食品を用いた減塩ヘルシー弁当提供の試みを行いました。非常に好評で,他学会でも紹介されています。 なお,この際にアンケートを行いましたが,その結果は,2011年度の第34回日本高血圧学会総会(宇都宮)で発表させて頂く予定です。
こだわりのヘルシーグルメダイエットレストランin呉 & in広島
(推奨:日本高血圧学会,呉循環器病研究会,広島大学循環器内科同門会) 現在,高血圧学会の支援を受けて広島県では呉を中心にレストランでの減塩活動に取り組んでいます。広島市や尾道市,大竹市でも取り組みが始まっています。料理の内容も和食,フレンチ,イタリアン,インド,中華に加えB級グルメ(お好み焼き,蕎麦,待望のラーメンなど)まで広がっています。食塩の使用量を減らすと同時に,地産地消の食材および旨み成分を利用して美味しく減塩・低カロリーを実現しています。 ◆こだわりのヘルシーグルメダイエットレストランin呉 & in広島 ホームページ
広島県の呉市で始まった減塩委員会の委員である松浦秀夫,日下美穂,協力会員である中東教江を中心に行っている取り組みで,高血圧学会でも支援をしています。広島県内に広がっており,地域の減塩運動として高い評価を得ています。代表的なレストランの料理を以下に写真で示しておきます。
![]() 減塩サミットin呉update
医師,研究者,栄養士,医療関係者,市民,外食産業,食品メーカー,料理研究家,製薬会社,学校(学校,児童,生徒大学生など),行政など広く参加を呼び掛けて,減塩の意識の浸透に努める目的で行います。美味しい減塩ヘルシー食の屋台も出る予定です。是非ご参加ください。
プレスセミナーupdate
2011年10月7日に高血圧学会のプレスセミナーが開催され,その中で河野雄平委員長が日本高血圧学会の減塩活動について報告しました。
2011年10月22日,第34 回日本高血圧学会総会の際にも高血圧学会のプレスセミナーが開催され,その中で滋賀医大の上島弘嗣特任教授とベルギー・ルーベン大学のJan A. Steassen教授が「減塩が心血管病リスクを下げるか」という今話題となっている点についてディベートを行いました。 http://mtpro.medical-tribune.co.jp/mtpronews/1110/1110073.html 食品中の食塩含有量調査
主な食品の食塩含有量を調査し,食塩量が少ない食品を紹介しております。
加工食品の表記はナトリウム量とされており,食塩量は書いてあるものもありますが,ないものもあります。たとえば,すべてが食塩(NaCl)の塩でも,ナトリウム量で書くと重量比で40%ナトリウム含有といった誤解を招く表記もできることになります(Na:Clはほぼ1:1.5の重量比ですので)。また,味覚は塩分濃度で感じるので,全体に均等に食塩が分布している食品は味の割には食塩含有量が多いこともあります。このように,その場で比較することは難しいので,食品の食塩含有量を知っておくことは減塩には重要です。
3. Individual approach
高血圧患者個人,家族および医療従事者へのはたらきかけによる食塩摂取減少
減塩実践の支援ツールの提供
実地医家,コメディカル,患者自身が使用できるそれぞれのツールの開発をめざします。 減塩指導に際しては患者自身の食塩摂取量を測定することが重要です。24時間尿中食塩排泄量の測定には24時間蓄尿による実測のほか,夜間尿や起床後第2尿,随時尿からの推定が用いられていますが,もっとも簡便である随時尿を用いて24時間尿中食塩排泄量の評価を行える計算式の再検討を行い,それをもとに随時尿による食塩摂取量評価のツールを作成する計画を立てています。また,栄養士による聞き取り調査で利用できる食塩摂取量に重点を置いた質問表の作成についても検討を行うことにしています。
食塩摂取量は個人差が大きく,減塩を行おうとする場合,まずどのくらいの食塩を摂取しているのかを正しく評価する必要があります。簡単な随時尿による方法や質問表など食塩摂取量の評価を行うツールには限界のある点も多いので,その改善を目指した取り組みです。
4. Publicity activities
減塩委員会の活動や減塩に関する広報活動
医家向けと一般向けのホームページを6月28日に開設しました。小冊子や減塩レシピの改訂版も計画中です。
4.食品中の食塩含有量調査
(検討中)
5.書籍など
高血圧患者さんのための減塩レシピ
松浦秀夫,中東教江:日本高血圧学会減塩ワーキンググループ 編,日本高血圧学会2006(1冊157円[税込み]にて販売中) 6. 他の減塩活動の紹介
にいがた減塩ルネッサンス
塩を減らそうプロジェクト
WASH (World Action on Salt Health)
CASH (Consensus Action on Salt & Health)
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