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島本理事長の後任として2010年10月よりNPO法人日本高血圧学会理事長の大任を仰せつかりました。高血圧は、最もポピュラーな病気であり、軽症の人たちも含めると、現在国内で4千万人にも達するであろうと推定されています。高血圧は、脳卒中や心臓病、腎不全そして最近では糖尿病とも深く関連するものと考えられており、いわゆる生活習慣病のコアの一つとなっています。今でこそ、高血圧それ自体で死に至るということは、ほとんどなくなりましたが、今から100年以上前は血圧の数値さえ我々は知り得ませんでした。そして50年前までは、高血圧で死にそうになってもそれを治す手段を持っていませんでした。そのことを考えると高血圧の研究の進歩は驚くべきものがあり、先人の果たした功績を賞賛せざるを得ません。我が国の基礎および臨床の研究者が、高血圧の研究の発展に尽くした貢献は、世界に誇るものがあり、日本高血圧学会は、そのような輝かしい伝統に基づいていることを誇りに思うものであります。同時に、将来の更なる発展を我々が担うという責務の重大さを痛感するものであります。
高血圧の研究は、高血圧の成因、高血圧性臓器障害などに関する基礎および臨床研究に留まらず、降圧薬の効果を実証する大規模臨床研究が、近年我が国でも盛んに実施されるようになりました。これらの科学的知見を総合して、世界各国から高血圧診療ガイドラインが発表されており、日本高血圧学会も数年毎に新知見を取り入れたガイドラインを改訂して来ました。2009年に発表したJSH2009ガイドラインは、現在の我が国の高血圧診療の基本方針になっています。学会は、今後とも社会に対してエビデンスに基づく指針を提供しなくてはなりません。
現在では、高血圧および関連する生活習慣病に対しては、減塩や適正カロリーの摂取などの食生活や身体活動を高く維持する運動等の生活習慣の修正が最も重要であると言われています。同時に、家庭で血圧を測定して自己の健康管理を行うことの有効性が明らかになってきました。これら、減塩や家庭血圧測定に関しては、学会内にワーキンググループを構成し、科学的エビデンスに基づいた提言を社会に対して行っています。学会の社会活動は、日本高血圧協会とも協同しながら進めます。
島本前理事長のもと、高血圧専門医制度が創設され、その土台が完成し、学会員も飛躍的に増加しました。高血圧の研究成果が社会に広められ、実地の臨床や地域の健康保健活動などに活用される仕組みが出来上がった訳です。また、学会内に各種委員会が整備され、それぞれが活発な活動を展開しました。私としては、これらを維持・発展させて行かなければならず、責任は重大であります。そのためにも、高血圧研究者のみならず一般臨床医、そしてコメディカルの方々にも魅力ある高血圧学術集会を催すことが重要であると考えます。
近年、特筆すべき事は、日本高血圧学会と国内の他学会や国外の高血圧学会との交流が盛んになってきたことです。これらの動きは、高血圧研究の発展の歴史的必然でもあると言えます。特に、日本、韓国、中国との交流は、毎年個別に実施されており、そろそろこれらを統合する新たな段階が近づいたのではないかとも考えられます。NPO法人日本高血圧学会のミッションを達成すべく、学会内外の方々の協力を得ながら、活動を展開したいと思います。このような展望を持って、高血圧学会の発展に微力ではございますが、力を尽くしたいと思います。会員の皆様の御支援と御協力をお願い致します。
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